各制度ごとの可能な範囲を知悉して一人でも多くの方に幸せになっていただこう
2024/12/19
P(お悩み相談)
海外渡航癖のある統合失調症の母のことで、相談させてください。
母は10年前に統合失調症の診断を受けてから、度々精神科で入退院を繰り返していますが、退院すると言葉巧みに同居の家族(=父)を操って怠薬・拒薬を繰り返し、外来通院も中断してしまっていた経緯があります。
「美容院に行ってくる」「歯科医に行ってくる」と嘘をついて度々外出をし、クレジットカードやパスポートを作成、航空券を予約し、一人で海外に行ってしまい音信不通となることが過去に何度もありました。
今回は6年前に国外に逃亡し、そのまま何か国かを徒歩で移動、不法滞在(ホームレス生活)をしていましたが、国内外の多くの方々の協力のもと、無事に連れ戻すことができました。
正直、我々家族としては、もう二度と会えないと思っていたので、今回帰国できたのは奇跡でした。
母の命と引き換えに、海外の精神病院で一時入院をした経緯もあり、現在は1000万近い医療費の請求をされています。
今回帰国した後は、かかりつけの精神病院に医療保護入院という形で入院させてもらっています。
ただ、病院側としても一人の患者を長く入院させることは難しいようで、現在退院に向けて外出訓練を重ねているところです。
今までの入院でもそうでしたが、主治医としては、やはり一刻も早く退院をさせたいようです。
本人も、早く退院するために優等生として必死に振舞っているようで、家族との会話ですらも慎重になっている様子でした。
現状としては、確かに薬のおかげで入院前のような「このままだと殺される!」といった切迫感はなくなりましたが、外出中も周囲を心配そうに伺う様子はあり、落ち着いている風に取り繕っているものと思われます。
問題がここからです。父との雑談の中で、母が最近マイナンバーカードや運転免許証(海外逃亡中に期限が切れたもの)の再交付申請をしようとしていると聞きました。
恐らくパスポートやクレジットカードの再発行をしようとしているのだと思います。
父は高齢というのと、元来正直でお人よしな性格もあり、今回も母の要求に何の疑問も抱いていなかったようでした。
母の車は、母の海外逃亡期間間に撤去されたので、現在自宅には父の車があるのみです。そもそも精神科の薬を使用しているので、本人が運転するのは望ましくありません。
しかし、母は「お父さんに何かあったときに自分が運転できないと困るから」としきりに言っているそうです。
(実家は、タクシーやバスを使えば十分生活できる場所です。)
今回入院する時に、院内のソーシャルワーカーさんに、青年後見制度について確認をとりました。
しかし、現時点では本人の認知機能等も保たれていること、そもそも本人が同意を絶対にしないだろう、といったところから、本人がパスポートやクレジットカードを再発行できないようにすることは、現状不可能と言われました。
つまり、退院をしたらまた国外逃亡を行う可能性が高いのです。正直、高齢の父が24時間本人を見張るのは難しいのと、本人が嘘をついて外出をした場合に留めることはできないと思っています。
施設に入所することを提案しましたが、本人は断固拒否。ソーシャルワーカーさんも、「施設に入ったところで24時間監視はできないので逃げることはできます」とおっしゃっていました。
もちろん、主治医には現在の状況、家族の思いは全てお話しています。
家族から、現在の状況では退院できない、ということを強く伝えれば無理に退院させることはしないと思いますが、肝心のキーパーソンである父は「病院に長くいさせるわけにはいかないよ。先生もああ言っているんだから、そろそろ家で引き取らないと。仕方がない。」と、寝ぼけたことを言っています。
父の家には一応姉も同居していますが、姉も仕事が忙しく、基本的には家にいません。これまでの母の件に関しても、仕事を理由にほとんど協力を得られなかった経緯があります。
私も夫の出張で、近々更に遠くに引っ越すことになります。
次に母が海外に行った場合、生きて帰ってくる可能性はゼロに近いと思います。
母を助けるには、どうすればよいのでしょうか。
どこに相談すればよいのでしょうか。
正直、私も父も、毎回毎回同じことの繰り返しで疲れてしまいました。
大切に育ててもらった恩があるから頑張っていますが、頑張れば頑張るほど本人からは敵意をあらわにされ、ほとんど何もしていない姉の方が可愛がられ、ただただ辛いです。
D(代表お世話人回答)
法律的にも検討してみましたが、成人後見人は難しいようでしたら、保佐人をつけるのはいかがでしょう?
成人後見人に比べて、つけやすい分、能力を制限できる範囲は限定的にはなります。
ただ、保佐人では、「意味がない」かもしれないので、法テラスなどで、弁護士または司法書士に事前にご相談してみると良いと思われます。
それにしても、大変すぎますね。
宇多田ヒカルの「点」「線」という自伝はおすすめです。宇多田ヒカルも、実母の藤圭子の精神病について悩んでおり、ちょうどご質問者様と同じようなご状況でした。
「大空で抱きしめて」や「花束を君に」は、そんな母親(藤圭子)がなくなったときの歌です。
ご質問様の心が癒されて、ご自分の人生を歩め、幸せになれることを心からお祈り申し上げます。
C(お悩み相談のお礼)
ご回答ありがとうございます。
なるほど、法テラスという手があるのですね。弁護士さん、司法書士さんへの相談はあまり考えたことがなかったので、目から鱗です。
すぐに相談できるか調べてみます。
また、温かいお言葉をいただきありがとうございます。宇多田ヒカルさんのお母様の話はなんとなく聞いたことがありますが、自伝があるのですね。読んでみたいと思います。
統合失調症は100人に1人が発症するといわれています。きっと同じような境遇の患者家族は、実は身近にたくさんいるのでしょうね…。もっと精神病が偏見なくオープンに相談し合えて、患者や家族同士が積極的に支え合える社会になることを願ってやみません。
A(代表お世話人あとがき)
今回のケースは、統合失調症の中でもとても重いケースでしょう。数万人に一人ぐらいだと思われます。
もしも、面接にこのような方がいらした場合は、医療や法律など適切な機関をご紹介し、不採用でもその方の長期的な幸せにつながるような助言をするのも弊社の使命の一つだと思っております。
お母様のことを愛するがあまりお母様に嫌われてもお母様のための行動をしているご相談者様の心に感銘を受けるともに、この事業を通して精神障害をお持ちの方とそのご家族、そしてその方の友人、知人、親戚縁者を幸せにすることへの思いを新たにしました。
医療でできることにも、法でできることにも、行政でできることにも、障害者雇用でできることにも、オールマイティなものは何もなく、それぞれに限界がございます。
この方のお母様のような方は、雇用ではなく、医療でもなく、行政と法的にご対応をすると、怒り、悲しみ、やるせなさを感じる方がより少なくなると思われます。
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